映画&ドラマ化が決定した伊藤くん A to E
原作は柚木麻子さんの同題名の小説です。
原作のあらすじと小説 伊藤くん A to Eの感想や評判を見てみましょう!
小説 伊藤くん A to Eの内容&あらすじ
伊藤くん A to Eは、2013年に幻冬舎から出版されました。
直木賞候補にもあがった作品です。
《内容&あらすじ》
モンスター級の痛男、“伊藤くん”を取り巻く女性の物語
伊藤誠二郎(27歳)は、顔はいいが自意識過剰で無神経
自分は傷つくくせに、人は平気で傷つける最低男が5人の女性を振り回す。
短編で綴られる女性A~E
A 伊藤に長い間片思いするが、粗末に扱われ続けるデパート勤務の美人
B 伊藤からストーカーまがいの好意を持たれてブチ切れる、バイトに身の入らないフリーター
C 伊藤の童貞を奪う、男が切れたことのないデパ地下ケーキ店の副店長
D 処女を理由に伊藤にふられるも、売れっ子放送作家を初体験の相手に選ぶ大学職員
E 伊藤が熱心に勉強会に通う、すでに売れなくなった33歳の脚本家
彼女たちが抱いてしまう伊藤くんへの恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感・・
ほろ苦く痛がゆい著者会心の成長小説です。
小説 伊藤くん A to Eの感想や評判は?
Amazon他レビューサイトに集まった感想を覗いてみました。
伊藤くんのくず加減と、それぞれの女性の心の描写にリアリティがあるようですね。
A/B/C/D/Eの女性の中でEの脚本家の女性に関する感想が多く寄せられています。最後の最後にスッキリとしない読了感を感じさせる作品が柚木麻子さんの作風なのかも。
伊藤くんと言うダメ男に惹かれる女性達にもうんざりしつつ読了しました。
5人の女性達も自己中な人が多くて、共感は出来なかったけど
登場人物それぞれが何かを求めて飢えている感情はヒリヒリと感じました。
読後感は決して良くないけれど、やっぱり癖になる柚木さん作品
Eはとても面白く読みました。それは、登場人物たちの崩壊劇にとどまらず、作家としての自己と無意識のうちに闘う著者の姿を、登場人物たちを介して感じたからです。
伊藤くんEの評価がイマイチのようですが、現実的には一番ありそうな人間心理と思います。読んですっきり爽やかもいいけど何とも言えない後味に、現実を見た感じがします。
いくらイケメンだからって、何なんだ!? この伊藤って男はww
こんなのに振り回される女の子達が気の毒でなりません。
しかし、彼女達はそんなダメな伊藤くんを反面教師として何かを学び取り、最終的には5人とも伊藤くんから去っていきます。
伊藤くんのダメっぷりが凄すぎて、女の子達にはついつい同情しちゃうけど、
だけど!!この女達の嫉妬心などの心理もなかなかにドロドロしていて、
このへんがあの「ナイルパーチの女子会」を書いた柚木麻子らしいな~~と思いました。
伊藤くんに対しても、それぞれの女性に対しても共感することは少ないと思うけれど、たまに、私もこういう気持ち知ってるかも‥もしかしたら伊藤くんみたいに見えてるところあるのかも‥とひやりとする。
AとBは面白かった。CとDもそこそこ。Eになってから「あれれ?」
伊藤くんをとりまく5人の女性の物語なんだけどEだけちょっと毛色が違う気がした。
おそらくEでいきなり伊藤くんが本音をさらけ出してしまったからと。私としては彼は最後までモヤっとしたままで良かったかな。
軽めの恋愛ものかと思ったら最後の話だけ暗めになってきて想像と違う話でした。
クズ男小説としては日本文学史上に残る傑作です。男性作家の私小説におけるクズ男たとえば西村賢太さんのクズ男は愛嬌があります。ところが伊藤くんはただただクズです。暴力すら振るわないなにもしないクズで借金を申し込んできても結局いらないというし。会社で後輩たちの恋愛の相談を聞くのが私の役割なんですが伊藤くんのようなクズ男はよくでてきます。ですが、後輩たちの話の中のクズ童貞男より伊藤はもっとクズ
自分は人とは違う!
才能を発揮できる機会に恵まれていないだけ!
と思いこんでいる人間が出てきます。そのイタさにイライラしてしまうんだけど、
「ここではない何処か」や「今ではない未来のいつか」を
期待する気持ちがある者にとっては、ちょっと悲しい気持ちにもなります。
他にも岡田将生さんが伊藤くんを演じるのは、はまり役だという声も。
読者自身の恋愛体験や人間関係に関する価値観によっていろいろな感じ方ができるストーリーのようですね。
ただ、伊藤くんがクズであることは100%意見が一致しています笑
柚木麻子さんの小説とドラマ化された作品
http://www.sankei.com/life/photos/150514/lif1505140029-p1.html
柚木麻子さんは1981年 東京生まれ
立教大学文学部のフランス文学科を卒業されています。大学時代から脚本家を目指してシナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを務めていました。
卒業後は製菓メーカーへの就職を経て塾講師や契約社員をして働きながら小説を書き続け、2008年にオール読物新人賞を受賞。
《単書一覧》
終点のあの子
あまからカルテット
嘆きの美女
ー黒沢かずこ主演でドラマ化
けむたい後輩
早稲女、女、男
私にふさわしいホテル
王妃の帰還
ランチのアッコちゃん
ー蓮佛美沙子・戸田菜穂主演でドラマ化
伊藤くんA to E
ー直木三十五賞候補
ー木村文乃・岡田将生主演でドラマ&映画化
その手をにぎりたい
本屋さんのダイアナ
ー直木三十五賞候補
ねじまき片想い~おもちゃプランナー・宝子の冒険~
3時のアッコちゃん
ナイルパーチの女子会
ー山本周五郎賞を受賞
幹事のアッコちゃん
奥様はクレイジーフルーツ
BUTTER
ー直木三十五賞候補
ドラマ&映画で見る伊藤くんA to Eが楽しみです!